悩んでいる人「理工系の建築学科と美大の建築学科って何が違うの？美大ってなると絵がうまくないとやっていけないかなぁ・・・。」
建築学科に将来進学を考えている人はこの悩みにぶち当たるかと思います。
今回はこんな悩みに答えていきます。
こんな記事を書いている僕は理工系の建築学科を卒業し、現在都内の空間デザイン会社に勤めて5年目になるものです。
僕自身理工系の建築学科出身であり、勤めている会社の同期には武蔵野美術大学と多摩美術大学で建築を学んだ人がいて、その人からも聞いた内容も書いていきますので、是非ご覧ください。
理工系建築学科と美大の建築学科の違い【2つの違いがあります】
理工系建築学科と美大の建築学科の違いは大きく2つあります。
この2つについて解説をしていきます。
カリキュラムの違い
理工系のカリキュラム
カリキュラムの流れをざっくりと解説すると
1年生の間は数学、外国語、物理などといった、いわゆる一般教養科目を学ぶことが多く、建築的な専門教科はまんべんなく学んでいきます。
主に建築的な専門教科は下記となっています。
■建築史
建築の歴史を勉強する教科となっており、国内の建築の歴史や世界の建築の歴史を学んでいきます。
木造建築の歴史や、ヨーロッパでいうとバロック建築や、ゴシック建築、ロマネスク建築といった、それぞれの時代背景からどのように建築に影響を与えているのかいった、建築的な手法などを学んでいく分野となっています。
■環境
建物の空調や照明、音響、温度など快適な空間を作るための要素について勉強する分野で、自分で実測した数値をもとに計算をすることが多かった記憶があります。
ホールなどの建物は環境設計がよく考えられているおかげで快適な空間ができているのです。
■構造
建物を成立させるために、力学といった建物に伝わる力の伝達の仕方の勉強をしたり、鉄筋コンクリート造、木造、鉄骨造といったそれぞれの工法についても学んでいきます。
日本は地震大国なので世界で最も構造設計基準が厳しいと言われていますのでこの分野はとても重要な分野となっています。
■材料
建物に使用する材料について勉強する分野となっており、主に木、コンクリート、鉄骨、鉄筋など材料によってどんな特性があるのかとか、曲げや、引っ張り、圧縮、ねじりなどといった力に対して、どの材料にどの耐性があるのかを学んでいく分野となっています。
■計画
建築をデザインするための手法や細かい寸法やなどを座学で学び、実技では有名建築の図面を実際に書いて、そこから図面表現の仕方やスケール感を勉強していく分野です。
実際に設計課題が出されて自分で設計をして図面を書いて、模型を製作して、最後プレゼンをする課題があります。
この設計課題がとても忙しいのです。
1、2年生の間はこんな感じの内容を広く浅く学んでいき、3、4年生になれば専門的に学びたいことを選択してかつ、研究室にも属して勉強をします。
美大のカリキュラム
美大はそもそも総合大学と違い、基本的に美術学部といった芸術系の学部のみです。
なので建築の意匠、つまりデザインの部分を勉強していきます。
何か課題を与えられて、その課題に対して自分なりに考えて形にしていく設計課題が豊富にあります。
建築以外の分野でもデザインを学んでいきます。例えば彫刻や絵画などから表現の手法などを学び、建築にどう表現ができるかあるいは、自分で考えたデザインに対してどんなストーリーを持たせることができるか、とかを養うことができるので、デザインに対しての知識などがとても身に付きます。
もちろんデザインをするうえで必要な構造や設備などの授業もありますし、外国語の授業もあります。
理工系の建築学科との違いはデザイン中心に建築を学んでいくのが特徴です。
教育の仕方の違い
理工系の教育の仕方
設計課題などで建築を提案するうえで、そのけんちくの作り方の部分がとても重要視されます。与えられた課題に対して、「実際にその建築物を建てるとなった際に問題となるような部分に対して合理的に解かれているか」をとても重要視して評価して教育をしています。
ある問題に対して建築的な視点でどう合理的に解決をしていくかです。
美大の教育の仕方
いっぽう、美大の建築学科の場合は、その建築物を設計することでその場所、地域がどう変わるか、どんな意味を持つものなのか、といった「出来上がるものに対していかに魅力的なストーリーを語れるか」を重要視して評価をして教育をしていきます。
まとめ
いかがでしょうか。
大学で建築を学ぶうえで理工系の建築学科か美大の建築学科どちらで勉強をしたいですか？
美大を志望しているけど【美大といったら絵がうまくないとやっていけない】という不安を抱えている方もいるかと思いますが、全然問題ないです。
入学してから学べばよいのです。
少しでも参考になったと思ってもらえたらとてもうれしいです。
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